ウサギの曹操が住む森から、少し離れた山の中にネコのモウトクとゲンジョウの家があります。
以前とはちょっと違いますが、ぬいぐるみのカンウも一緒です。モウトクは新しいカンウともすぐ
仲良くなりましたし、以前のように家の周りにやってくる小鳥たちとも仲良くなりました。
 でも…モウトクには気がかりなことがひとつあるのです。それは山火事のときに負ったゲンジョウの
ヤケドでした。
 ゲンジョウはモウトクをかばって背中や腕にヤケドをしたのです。大きなひきつれを見るたびに
モウトクの心が痛くなります。
(ゲンジョウ、オレのせいでケガしたんだ…オレがカンウに逃げようって声をかけてたから…)
 モウトクはゲンジョウのためになにかしてあげたくてたまりません。一生懸命考えました。
(そうだ! ゲンジョウがオレのお腹を舐めてくれたら、オレお腹痛くなくなった。オレがゲンジョウの
ケガを舐めたら、治るかもしれないぞ)
 でもネコの姿のとき、モウトクの言葉はゲンジョウにはわかりません。モウトクがヤケドを舐めてあげようとして近づいても
「こらこら、今忙しいから、あとでな」
 じゃれているとしか思ってくれないのです。
(あっ、ツキの夜にヒトになったら、ゲンジョウはオレのしゃべってることがわかるぞ。早くツキが出ないかなぁ)
 そんなわけでモウトクは満月の夜を待つことにしました。

 毎晩空を見上げ、小鳥たちに尋ねて、今夜が満月の夜だと知りました。あとは雨が降ったりしないことを祈るだけです。
(早くツキが出ないかな…早くヒトになりたいな)
 モウトクは満月の光を浴びると一晩だけ人間の姿になれるのです。
(あっ、ツキが見えた!)
 山の裾から満月が顔を出しました。ゆっくりゆっくり月が動いて、本当にまあるい姿が現れたとき、モウトクは少年の姿に
なっていました。
「ゲ…ン…」
 もうゲンジョウは驚きません。モウトクを見て小さく笑うだけです。
「そうか…今夜は満月だったな」
 そしてモウトクは少し賢くなりました。言葉は上手に話せないので、身振りでゲンジョウに気持ちを伝えることを覚えたのです。
「コ…ッチ」
 モウトクはゲンジョウを寝室へと手招きしました。
「ネ…テ」
「おいおい、今夜はどうしたんだ?」
 いつもはこんなことしないのですから、ゲンジョウは不思議そうです。でもモウトクのいうことをきいてあげました。
 ベッドに仰向けに寝ます。モウトクが首を振りました。
「こっちか?」
 優しく尋ねてうつぶせになります。その背中にモウトクが乗っかりました。
「モウトク、重いぞ」
 ゲンジョウが笑っています。
 モウトクはずっと考えていたことを始めました。ゲンジョウの背中にある大きなヤケドのあと…それを丁寧に舐め始めたのです。
「イ…タイ?」
 ときどき心配そうにのぞき込むモウトクを見るうちに、ゲンジョウにはモウトクの気持ちがわかってきました。
「もう痛くないさ…お前が舐めてくれたからな。それより…」
 ゲンジョウは笑いながらモウトクの身体をどけました。だって、さっきから当たっていたモウトクのちっちゃな男根が、
ゲンジョウの背中をべたべたにしてしまったからです。
「たまにはこういうのも悪くないか」
 ゲンジョウは仰向けになった自分のお腹の上にモウトクを乗せました。モウトクのお尻に熱くて硬いものが当たっています。
「ゲン…ジョ…」
「いい子だな、モウトク」
 ゲンジョウはそう言ってモウトクの身体をつかむと、自分の塊の上に下ろしました。熱いものがモウトクの中に入ってきます。
「ア…アアーッ!」
 最初は痛いけど、だんだんと気持ちよくなってきて、モウトクはうっとりした顔になりました。
ゲンジョウはモウトクの足を開かせ、ふるふると震えている小さなそれを指で撫でまわしました。
「アウンッ…アッアッ…」
 恥ずかしいのと気持ちいいのでモウトクは身をよじります。そんなしぐさがかわいくて、ゲンジョウはさらに指で嬲りました。
「アアーッ!」
 先っぽから白いものがぴゅるぴゅると飛び出して、ゲンジョウのたくましい胸にこぼれます。モウトクは握り締めた両こぶしを
小さく震わせました。
「モウトク…少し我慢しろよ」
 ゲンジョウはモウトクの腰を抱え、モウトクの身体を何度も上下させます。やがてモウトクのお腹に入っているゲンジョウの
熱い塊が大きくはじけて、モウトクのお腹に熱いものが流れ込んできました。
「フゥ…」
 呆けたようなモウトクをしっかりと抱きしめ、ゲンジョウは一緒に眠りました。

 翌朝、目が覚めたモウトクは一番先にゲンジョウの背中を見ました。でも…ヤケドのあとはあいかわらずあります。
(ケガ、なくなってないや…どうしてなのかな。オレ、一生懸命舐めたのにな)
 モウトクはなんだか悲しくなりました。あんなに一生懸命したのに、です。
(ごめんよ、ゲンジョウ)
 ゲンジョウの肩に前足をかけてあやまります。その感触でゲンジョウも目を覚ましました。
「ああ、起きたのかモウトク」
 ゲンジョウはにっこり笑ってモウトクを撫でてくれます。モウトクは爪を出さないようにしてヤケドに触れました。
「これか? もう全然痛くないぞ。お前が舐めてくれたからだな、きっと」
(ほんと? ほんとにもう痛くない?)
 モウトクはさっきと変わってうれしくなりました。そうして満月の夜を教えてくれた小鳥たちにも報告しようと、外へ
出かけていきました。

 その日から、ゲンジョウのヤケドは二度と痛くなることはありませんでした。
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